おじさん家族    なんじゃそりゃ①

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 癌で余命3カ月と宣告を受けたおじさん。お金はあるので最期を病院併設の豪華施設で過ごすことに。奥さんは10年前にすでに他界、他人はもちろん、3人の息子ですら見舞いには来ない。  昔から「冷たい人」と良く言われた。その通り人望がなかったのもあるし、今流行りの終活で早めに遺産分割を決めたからだろう。息子たちに会いたいとは思わなかった。顔のつくりがおじさんにそっくりな子供たちのことを、可愛いと思ったことはない。幼い頃から面倒をみた覚えもない。孫たちが生まれても、さほど愛情がわかない。だから、見舞いに来られてもお互いに間が持たないのだ。  とはいえ、退屈なものだ。余命3カ月とはいえ、意識はまだあるので一人の時間が長い。  そこで、パパ活をしている女子高生を時給3万円で呼ぶことにした。女子高生には何も求めない。ただ部屋にいてくれるだけでかまわなかった。そうして意識がなくなるまでのおよそ3カ月、おじさんは毎日女子高生を呼び続けた。  おじさんの葬式には女子高生たちが次々とやってきた。見舞いの際、葬式に行くと言ってくれた子たちにプラス5万円払っていたからだ。何も知らない親族や息子たちはとにかくびっくり。 これはおじさんの人生最初で最後の気まぐれ。なんとなくみんなを驚かせてみたくなっただけの話だ。 終わり
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