先生は左利き

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「ああ……」  私は思わず声を漏らすと、先生が何故か嬉しそうに「ね? クズでしょ?」と言う。私はそれを聞いて、ふっと鼻で笑うと、椅子の背もたれに体重を預けた。 「それ、先生ですね」 「……は?」 「生徒の前で、煙草吸うし」 「いや、吸うけど、生徒の前では吸ったことない」 「ていうか、ニコ中じゃないですか。先生、ってあだ名ついてるの知ってますか?」 「知ってるけど、聞きたくなかったー」  先生が耳を塞いで、わーわー声を発すると、私は「五月蝿いです」と言って、先生の足をまた踏む。先生がキッと私を睨んだ。  教師としてはあるまじき行為。いや、まぁ私も生徒としてあるまじき行為なのだが。
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