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「まぁ、クズだな」
「え」
「うん、クズだな。あれはクズだった」
先生は何度も頷くと、私はぽかーんと口を開ける。いつの間にか動かしていた左手を止め、ペンから離れたその左手は、顎先に当てられた。
「クズって……。先生が言ったら、アウトじゃないですか?」
「え、何? 俺、ディスられてる?」
「事実を言っただけですよー」
「その笑顔が刺さるー」
先生は心臓に手を当てると、過剰に反応をする。先生こそ、タレントに向いてる気がする。
「いやいや、俺クズじゃない。断じて違う」
「前に、俺は金さえ貰えれば、私たちなんてどうでもいいって言ったの誰でしたっけ?」
「えー、誰だろうな」
「貴方です」
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