3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
ある日のこと、
初めて入ったコンビニで、小さな体の男に胸ぐらを捕まえられた。
僕はあらん限りの力で抵抗した。
籠の中の品物は飛び散り、僕の上着ははだけた。
しかし、その小さな男は、びくともしない。
万力のような強さで、僕の胸を締め付ける。
小さな男の目は、僕の目を見据えている。
背筋が凍った。
「何が、そんなに楽しいんだ! え?」
小さな男は、低い声で言った。
僕は、回りを見回した。
「あいつらは逃げたよ。おまえ新顔だろ?」
「・・・」
「いいように利用されやがって、バカめ」
僕の頭は、真っ白になった。
「さあ、行くぞ」
「・・・あの、どこへ」
小さな男は、呆れたように僕を見た。
「決まってんだろ、警察だよ」
僕は、観念した。
不思議と奇妙に僕は落ち着いていた。
「名前は?」
「カズ」
「年は?」
「16」
「親は?」
「います」
それっきり、小さな男は黙り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!