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閉じている目に朝の光がさしこんで目を開けるのを躊躇うが、彼のいるほうから流れてくる包丁のリズムは少しずつ目覚めへの意欲を湧かせてくる。気怠げに起き上がる自分の姿が色っぽく映るようわざとパジャマの崩れも直さず、寝癖も適度になおしつつ、彼の目に私が少しでも長く映るように。
「おはよう心春」
「おはよう玲くん」
「もう朝ご飯できるから待ってて」
「うん、ありがと」
夏の暑さの残る太陽の日差しは、真っ白のな部屋に反射して私達を幻想の中へ誘うような、私と彼との間に境界線を引くような、掴みどころのない光のようだ。
「お待たせ、さぁ 食べよ」
「うん、いただきます。ん〜美味しいよ、いつもありがとね」
「そっか、よかった」
この口癖を聞くたびに私はやるせない気持ちになる。彼がこの言葉を言うときは決まって私のほうを見ない。昨日の夜だって目を瞑ったままの呟くような一言だった。
「ねぇ、ひとつ聞いてもいい?」
「なに?」
「なんでそんなにsexが好きなの?」
ただただ知りたいです。あなたは冷たい人です。誰かがミスをしても叱りもせず、励ましもしない人です。でもあなたは思いやりあふれる人です。そのミスも静かに修正してくれるそんな人です。だからこそ知りたいです。あなたは私を愛してくれてますか。
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