傍観者

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 「ここへ来てボロボロ出てきてますからね。婚外子の件だって公になってないのも入れると四人はいるはずですよ、女関係が派手なのは十代の頃からですからまだ出てくるんじゃないですか?」  もうゲス過ぎて目も当てられない、今度御曹司をメディアで観る機会があったら間違いなく何らかの拒否反応が出そうだ。 「そういえば奥様って見た目的にはどんな感じなんです?」  あぁ、私もそこは興味がある。野次馬根性丸出しだが、御曹司が囲うほどだからそれなりの美人さんなのだろうと思ったら……。 「大柄でやたらと乳がデカイだけって感じかな? 顔もパッとしないし兎に角ひた隠す御曹司のセンスが分からない、こんなのどこがいいの? って今でも思う」 「仮にも亡くなられてる方なんですからもう少しマシな表現あるでしょ。でも身体目当てかなぁ? って不謹慎を承知でも思ってしまうくらいに流され易そうな方でしたね」 「あの御曹司の性格考えたらお似合いだったんじゃない? 何でも言いなりの頭悪い系、仕事の出来もイマイチでコネ入社丸出し」 「うわぁ辛辣だなぁ」  二人の不謹慎発言に松井さんは苦笑いしていた。話の内容はともかくとして、それをきっかけに女四人の取材旅行は時間が余るくらいに順調に進んだ。よって全員がそれなりに上機嫌に過ごし、夜は地元の居酒屋を探索して地元の方と接する機会が持てるほどの余裕も出来た。それは人見知りしない鳴海さんと松井さんが担当してくれたので私は何もしていないが、話だけはきっちり聞かせてもらって記事に生かしたいものだ。  それにしても鳴海さんのパワフルさには圧倒されっぱなしの一週間だった。エネルギッシュな彼女に何年も付いてきてる相川さんも素晴らしい女性で、細部にわたって気の回る仕事振りは見事のひと言に尽きる。
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