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先に用でも足すかと思って個室に入るといつになくアンモニア臭がキツく感じる。こんなこと今まで無かった、香津や由梨が増え、一時期掃除が滞っていてもここまで臭かった覚えは無い。
「こんな中で用は足せないわ」
私は早速ゴム手袋をはめ、トイレブラシと洗剤を持って便器を磨くが臭いは取れない。今度はトイレ用シートで便器を拭くも完全には拭えていない。
それにしても何? 何気に手にしているトイレシートを見るといつもより汚れている。これはおかしいと新しいシートに取り替えて床を拭くと殆ど臭いが消えていった。よせばいいのにシートをチェックするとこれまで見たことの無いくらいに黄ばんでいる。
「どうすりゃ一体こんなに汚れるの?」
その理由は何となく察しが付いた。これは間違いなくアレだ……ひと通り掃除を済ませてからトイレを出て、迷わず冷蔵庫を開けると予想通りの展開が待っていた。
「やっぱり」
私が思わず独り言を呟くと、ダイニングにいたらしき由梨が何が? と声を掛けてきた。
「いえ何でもありません」
私は冷蔵庫を閉めて部屋に向かうと又しても呼び止められる。今度は何?
「疲れてそうだからお茶でも……」
「いえ、疲れてますので横になりたいです」
今は飲み物よりも睡眠が欲しい。私はゆらゆらとした足取りで部屋に入り、愛しき我がベッドで死んだように眠り続けた。
コンコン、コンコン。
何だろう、今日も奇跡的に(最近はそんなことも無いが)夕飯を知らせに来てくれたのだろうか? はいいが今はあまり食欲が無い。今日の食事当番は香津だから反応が無ければさっさと諦めて先に食べるだろう。
コンコン、コンコン。
今日は随分としつこいなぁ、もう少し寝ていたいのだが……と思って布団を頭から被るとミカの声が聞こえてきた。
『麻帆、起きてる?』
「ん~、寝てる~」
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