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『返事できるんなら開けなさい、丸一日以上寝てたんだからそろそろ起きたら?』
丸一日以上? マジでか? 私はすぐそばにある置き時計を掴んで時間をチェックする。時刻は八時八分、二十四時間表記に設定しているので朝八時であるのは間違いない。日付は六月十八日、ここに戻ってきたのが十六日だから……本当に丸一日以上眠っていることになる。今日は昼から連載コラムの打ち合わせがあるのでこれ以上寝ていられない。
「ん~、分かった」
私はゆっくりと体を起こしてカーテンを開ける。この時期は太陽も昇りきっていて、六月にも関わらずカラッとした晴天だった。取り敢えず窓を開けて空気を入れ替え、髪の毛をブラッシングして一つに纏めると洗面道具を持って部屋を出た。
「おはよ~」
「おはよう、香津さんと由梨さんならもう出掛けたわよ」
「あっそう、ところで学校は?」
「創立記念日で休み、この後予定は?」
「昼から打ち合わせが一本入ってるだけ、夕方には戻れる」
「そっか、じゃあ終わったら連絡ちょうだい」
「分かった」
私は顔を洗いに洗面所に入り、その間にミカが朝食の支度をしてくれた。
夕方、打ち合わせが終わったので早速ミカにメールをすると【そのまま正面入口で待っててほしい】と返信があった。ひょっとして迎えに来てくれてるのだろうか?
ミカは日頃から通勤で車の運転をする。基本的に落ち着いた性格ではあるのだが、ハンドルを握ると豹変して一気に気性が荒くなる。その割に大きな違反や事故を起こしたことは無いのだが、発進で抜かされただけで舌打ち、煽られればわざとスピードを落とす、抜かされると抜き返したりスピードを上げて入れてやらなかったりするので時々肝を冷やされる。
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