傍観者

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 今日は平穏無事にと願いながら迎えを待っていると水色のコンパクトカーが目の前で停車した、ミカだ。ここはあまり長く停車できないので、私は急ぎ足でミカの車に乗り込む。 「悪いね、迎えに来てもらっちゃって」 「いいよ全然。ちょっと話もあったから」  何だろう? きっと香津と由梨に聞かれたくないからわざわざここに来たのだろう。 「あの二人に聞かれるとマズい話なのね?」 「まぁ今日明日はその心配しなくてもいいんだけど」  へっ? あの二人何か予定でもあるのだろうか? はて、そんなこと言ってたか? 「憶えてない? 香津さんは会社の慰安旅行で明後日の夕方まで帰ってこないわよ」 「私いなかったんじゃないの?」  そんな話全く記憶に無い。 「いたわよ、取材旅行に行く何日か前の話だもの」  私はその時期の記憶を辿ってみるが全く思い出せない。まぁ正直いない方が片付きも良いのでどんどんお出掛けして頂きたいというのが本音だが。 「そうだっけ? 憶えてないわ」 「まぁいいけど。やっぱりあんたあの二人と仲良くする気無いのね」 「それお互い様だと思うけど」  私は一昨日の由梨の態度を思い出して少々イラッとした。香津とは馴れ合うよりも適度な距離を保っている方が上手くいくような気がするので不要に近付かないだけだ。 「香津さんはともかく由梨さんはそうでもないみたいよ。一昨日ヘロヘロの麻帆にトイレ掃除急かして怒らせちゃったって申し訳無さそうに言ってたし」  随分とずるいやり口を使うなと思った。私には気遣いの欠片も見せやしないのに、敢えて私と親しいミカに反省の色を見せて同情を買う……何気に腹黒い女だ。正直今更かよという思いしかないので敢えてスルーさせて頂く。 「それで思い出した、帰ってから旅土産出しとかないと」
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