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「ところでさ、何か気付かない?」
どうやら本題はここからのようだ。きっと一昨日違和感どころか悪臭を漂わせていたトイレのことと冷蔵庫の中身のことを言っているのだろう。
「トイレがいつもより汚れてた、一昨日の話だけど。それと冷蔵庫の中のお茶、あれ誰の? あのメーカー普段誰も飲まないよね?」
それと今朝お風呂で使ってるボディーソープの匂いがいつもと違ってた。普段使ってるポンプに入ってたからすぐには気付けなかったけど。
「ボディーソープは誰が変えた? 普段のと匂いが違ったんだけど」
「それは私、薬局に行ったら香り違いのしか売ってなかったから。お茶は多分香津さんだと思う、由梨さんも麻帆と同じようなこと言ってたから」
「彼女なら確認すればいいじゃない、仲良しなんだから」
何故ミカに訊ねたのか? 香津とは一番折り合いが悪いのに。
「最近そうでもないみたいなの。何か居辛くてさ」
ミカはハーブティーを飲んでため息を吐く。
「だから最近香津さん家に寄り付かなくてね。それは別に構わないけど、こっちが家空けてる時に状況が変わってるから落ち着かなくて」
「へぇ」
あの二人喧嘩でもしたのだろうか? まぁ『夫婦喧嘩〈ではないが〉は犬も食わず』なんて言うからなるべく近付かないようにしておこう、『触らぬ神に祟りなし』だ。
「そう、じゃあ今日と明日はのんびりできる訳だ。まぁ仕事もあるからそうもいかないだろうけど」
「うん、明日は代休をもらってるの。たまには一日ゴロゴロしてようかと思って」
「だったら掃除は私がするよ。二週間以上家を空けてた訳だし、二階は触らなくていいんだから前よりは楽ちんよ。洗濯物だけ出しといてね」
「うん、分かった。だったら今日は店屋物にしない? 先週ポストに入ってたんだけど、ここのお寿司屋さん出前頼めるみたいなのよ」
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