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ミカはペーパーラックから一枚のチラシを取ってきて嬉しそうに見せてきた。この寿司屋最近近所にできて店の前をよく通る。気にはなっていたので出版社の近所にもある別の支店で食べてみたがお世辞にも美味しいとは言えなかった。
「ここ美味しくないよ、それだったらそこのスーパーの隣の寿司屋でテイクアウトした方がまだまともだって」
「そうなんだ、何かがっかり。でも歩いて行ける距離だから運動がてらってのも悪くないわね」
私たちはティータイムを切り上げてから寿司屋まで歩いていくことにした。私たちは二人だけなのをいいことにパーティー仕様の握り寿司を購入し、スーパーで日本酒も購入した。ミカは下戸なので飲むのは私だけだが、あの“カン詰め”以来お酒は一滴も口にしていない。
それに香津と由梨が来てからというもの、歳のせいか精神的疲労のせいか悪酔いが増えたように思う。でも今日は家飲み、酔えば部屋に入って寝てしまえばいいのだ。片付けだって明日でいい、そう思えば気が楽だ。
「今日は燗にしようかな~?」
「このクソ暑いのに?」
「やっぱり冷かな~?」
「もう好きにしなさいよ」
そんなことを言いながらはしゃいでられるのもいつ振りだろうか? ミカからも笑顔が見られて何だかそれだけでホッとする。私たちは久し振りに二人だけで食事して色んな話をした。近況報告、思い出話、恋の話など大した内容ではないが話は尽きなかった。
「そういえば小学校卒業する時『タイムカプセル』埋めたよね?」
「あ~そういえばそんなこともしたっけ~。でもどの辺に埋めた? 一度改築してるから建物の下になってたら最悪だよ」
と言いつつ私は『タイムカプセル』のことなど何も覚えていなかった。ミカの記憶力が凄いのか私の記憶力が酷いのか……きっと後者だと思うが。
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