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まぁあの程度のオッサンがなれるものなのだから、試験で貰える肩書などあくまで綺麗にラッピングされただけの空箱のようなものだな。人格者が聞いて呆れる。
「あんなのでも校長になれたのね」
「まぁ麻帆にしてみれば嫌な担任だったと思うよ。でも来年掘り起こすから参加しない?」
「う~ん今更どうでもいいなぁ、サーモン食べるわよ」
「ちょっと待ってよ! 私まだ食べてない!」
ミカは明らかに『タイムカプセル』のことなどそっちのけで目の前のサーモン握りを口の中に入れた。何だその早業と呆れてしまったが、所詮ただの紙切れを土に埋めて“熟成”させることに何の意味があるのか? それよりもサーモン握りの方が明日の命の糧になる。私は嬉しそうに口をもぐもぐさせているミカを見ながらそんなことを考えていた。
パーティー仕様の握り寿司を見事完食した私たちは、簡単に洗い物を済ませてからリビングに移動してテレビを見ていた。今日は見たかった番組が野球中継で延長となり、違う番組を見て時間を潰していたら事もあろうにあの御曹司が神妙な面持ちで記者会見をしてる映像が映し出された。
「うわっ、何か拒否反応」
「私も。チャンネル変えよっか?」
私は番組表をチェックしたが、見た限り野球中継が一番マシそうであるのでそこにチャンネルを合わせる。
「うん、野球中継の方がマシよね。巨人が負けてるから見たくないんだけど」
ミカは家族総出で熱狂的な巨人ファンだ。一時的なものだとは思うが、このところ負けが込んでいてアンチの私からしたら楽しくて仕方がない。
「たまには負けりゃいいのよ、その方が面白いじゃない」
「巨人が強くないと野球がつまらないわ」
「巨人一強が通用する時代はとおに終わってんの、何なら毎年違うチームがリーグ優勝してる方がよっぽど面白いわ」
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