傍観者

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 私はセ・リーグよりもパ・リーグ派だ。かつてはセ・リーグに比べて人気が無かったのだが、最近はスター選手の輩出も増えてきて面白くなってきてると思う。 「どこかパ・リーグの試合してないかなぁ?」 「BSでやってたと思うけど。もう終わってるわね」  だったら巨人戦か……私たちは違う思惑を抱えて野球中継を見ているとピンポンと玄関から聞こえてきた。もう夜九時を過ぎている、余程でないと宅配便だってこんな時間に来やしない。 「誰だろ?」 「知らん知らん、居留守でも非常識じゃない時間よ」  ミカは玄関が気になるみたいだが私は居留守を決め込み、動く気などさらさら無い。 「宅急便かも知れないよ」 「誰宛てのよ? あの二人宛のを受け取るつもり無いわよ。それにもしそうなら『宅急便でーす』って言うでしょ」 「うん」  ミカが後ろ髪引かれるように玄関を見つめていると再度ピンポンと聞こえてくる。 「やっぱ気になる」 「何で? 暴漢ちっくなのだったらどうすんの?」  私はミカを引き留めるが大丈夫だよと言って玄関に向かう。いくらミカが護身術を習っているとはいっても三十代の一般女性である。本当に暴漢だったら何が起こるか分かったもんじゃない。 「止めときなってば、事件になったらどうすんの?」 「逆に用があって訪ねてこられた方だとしたら物凄く失礼なことしてるのよ私たち」 「こんな時間に来ること自体失礼でしょうが」  私止めたわよ、でもこうなったミカはこっちの言うことなんて聞きやしない。仕方が無いのでもしもの時の目潰しになればと殺虫剤を持たせてから玄関に向かわせた。 「はい」  ミカは玄関を開けずに応答する。 『夜分遅く申し訳ありません。新垣仁志(にいがきひとし)と申します』  にいがきひとし? 誰だそれ? ミカが私を見てきたのでそんな男知らないと首を振る。
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