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ローズ色の綺麗なプリーツスカートの裾からのぞくすっかり細くなってしまった足。
祖母の最晩年と重なり、ついに言ってしまった。
「わかりました。準備があるので店内で少しお待たせしてしまうことになりますが、よろしいですか?」
目の端で唯香が口をぱくっと開けたのが見えたけれど、もう後戻りはできない。
「ありがとう!ごめんなさい、とても助かるわ」
「どうぞ、こちらへ。足元お気を付けくださいね」
扉を開けて、ソファへ案内した。
「準備するんでちょっとお待ちくださいねえ。緑茶と紅茶とコーヒー、どれがお好みですか?」
後ろからついて来た唯香がお客様に愛想よく話しかけてくれた。
「お気遣いありがとう。・・・緑茶をお願いして良いかしら」
やや緊張した面持ちで小さな体をちょこんとソファにのせるさまは、おとぎ話の神様のようでどこか可愛らしい。
「はい、かしこまりました」
にっこり笑って奥のキッチンに向かって歩き出すとき、こっそり私に囁いた。
「萌さん、ほんっとお年寄りに弱いですね。わかっていたけど」
「ごめん・・・」
「貸しですよ~。隣のコーヒー奢ってください」
「ありがとう」
今夜は焼き肉をおごろうと心に決めた。
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