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みんな林檎姫になりたかった
つけまつげとウィッグに憧れ
少しかすれた声をして
彼女になりたかった
「あたし」という一人称を
わけもなくかっこいいと思っていた
思い詰めることは時に
彼女の前では礼賛の行為となった
自殺志願者・包帯・浴室
(どうぞ・やって)
だけどこのままでいたい
甘やかな誘惑
そんな彼女が母親になっても
みんな「あたし」をやめなかった
男たちは「あたし」達を怖がって
結婚すらしたいと思えなかった
あたしはいい
林檎姫になれるのなら
男たちを従えた
唯一のヒロインになろう
甲冑で身を固め
旗を翻し
男どもの跪く姿を見て笑おう
そんな「あたし」達を
私はもう卒業してしまったのかもしれない
ありがとう、林檎姫
あなただけが女王だった
いい夢を見させてもらいました
姫のはみ出したアイラインを
今日はちょっとだけ真似てみる
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