紺の唇 (140字短編)

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 そっと頬に触れる。  ひやりとした冷たさが指の温度を奪う。  紺の唇に口づけると零した涙が彼の頬を這う。  馬鹿。  口を衝く一言は自慢と暗澹が混在している。  お胎で彼か彼女も怒ってるよ。  会うことを誰より心待ちにしてたくせに、知らない子供を庇って。  誇らしいけれど憎らしい。  馬鹿よ…
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