自殺を考えている会社員T

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皮肉のつもりで言ったら普通に褒められたので、面食らった。  いつも買った惣菜をフードパックに入ったまま食っていたから皿も軽くすすぐ。玉ねぎは黙っていた。炊飯器を開けると湯気がたち、 「上手く炊けたよ!」 と米達が騒いだ。一合しかないから大した量じゃないが、一応しゃもじで軽く混ぜてから皿によそう。それからお玉でカレーもよそう。「初めまして」とか「良い白色をしているな」とか言っている。スプーンも洗い、酒もせっかくだからグラスに入れる。でも何か落ち着かない。そうだ、俺はいつもライスが左、カレーが右に来る様にしていた。でもこれじゃ反対だ……これでいい。よし、あとは食うだけだ。  いつもはただ黙って食い始めて、飲んで酔っぱらってで終わりだったが、自分で作ったカレーを目の前にすると、それだけでは勿体ない気がした。手を合わせて、 「いただきます」 と言う。 「召し上がれ」 と返って来た。食い物に返事されるのは実に奇妙だ。スプーンですくい、口に運ぶ。少し感慨深い。 「上手いか?」 「……うん。玉ねぎから良い甘みが出ている」 「そうか」 「ニンニクも食欲をそそる良い香りだ」 「でござるか」
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