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「そうかそうか……して、お前は気張ってカレーを作り過ぎたようだな。まだ鍋にたくさん残っておる。これを今日だけで食う事は出来ないんじゃないか?ワシらは腐りたくない訳だが」
この玉ねぎはなかなかの策略家だ。まあ今となってはどうでも良いか。
「お前らが食って欲しいと思っている間は死なないでいてやる」
「そうか」
あの日以来俺は自炊を始めた。今はスーパーで買い物をした帰りだ。相変わらず空はくすんでいるし、毎日の仕事も辛い。
「おい努。今日は何を作る」
また声が聞こえて来た。俺は口から白い息を吐きながら、
「カレーだ。ビターチョコや蜂蜜を入れても美味くなるらしい」
と言った。
口の無い玉ねぎは笑いながら、
「そうか」
と満足そうに答えた。
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