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「お前は馬鹿か!まずニンニクとワシを油で炒めろ。あとその鍋もまな板も包丁も、埃をかぶっているではないか。ちゃんと洗え」
いちいちうるさいが確かにコイツの言う通りだ。玉ねぎ閣下のご命令通りに、料理道具を水にくぐらせ、軽く洗剤を付けたスポンジで洗浄する。最初は冷たかった水が、全てを洗い終える頃には丁度いい温度に温まり、かじかんだ手がほぐれた。
「よし、ワシ達を軽く洗ってから全部を切れ。その方が後々楽だぞ。あと先に油をしいて鍋を温めておけ。強火にしすぎるなよ。ワシらはすぐ焦げる。まあ腐るよりはマシだがな」
「分かった分かった。それで、切っても痛くないのか?」
「ははっ、心配してくれるのか。安心せい。ワシらに痛覚は無い。痛かったら食えなんて言わん」
茶色い皮を剥がれ、白くつるりとした玉ねぎの言い分はしっかりしている。
「確かに。じゃあ思う存分刻ませてもらう」
「待て、ワシはくし切りにしてくれ」
本当にいちいちうるさいし細かい。だが作ってる間ずっと悪態をつかれるのは流石に勘弁して欲しいから、言われた通りにする。くそっ、これじゃ会社と何も変わらないじゃないか。腹が立つ。しかも目と鼻につんと来る。
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