序章

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序章

2017年7月24日。6:28時。   東向きの寮。朝日はカーテンを通し部屋を明るくしている、その中で俺は寝惚けながら台所に立つ、何故?それは僕が聞きたい。寝起きにさせるなって、事故が起きて負傷者が出るのは明白。  そんなことをウジウジ悩んでたところで朝食は出来ない。  大きなあくびによって出て来る大粒の涙を指先で拭い、あくびをかみ殺す。  小さくカットし炒めていたベーコン(市販のもの一枚か二枚分)の上に卵を一個づつフライパンに入れる。それがいつもの目玉焼きだ。  ベーコンはまだ炒め始めたばかりなのでまだ時間はかかるけど。  銃弾が飛び交わないこの時間はかなり大切である、よって僕の脳髄命令は、早めに3人分の朝食を作りコーヒータイムへと移るべし。兄が来るよりも先に。との判断が下された。 「ひなお兄ちゃんー、大丈夫?顔がキモいけど…」  彼、緋和(ひなと)は妹のもみじ(本名では『(もみじ)』だが、名乗るのはまだ先である)に声を掛けられ振り返る。ワイシャツリボンのブレザー、学校の制服で身を包み小柄で、150cmに行くかどうかの身長に、腕も脚も全体的にほっそりとしているように見える。  ほとんど日焼けしていない白い肌がさらに小動物感、本人は図らずに人々をそう感じさせる。  髪は綺麗な銀髪を三つ編みにして肩にかかる程度の長さ、椿と紅葉の二つの小さな髪飾りをつけている。 「え?ああ、そう…で()()は起きたのか?」 「だーめ、全然起きないんだもん、もう一回行って来るけどそれで起きなかったら『襲っちゃうぞー?がおー!』って言えば起きるでしょ?ひなお兄ちゃんもちゃんと起きてね?」  クスッと笑って行った妹、少なくとも先程の発言は間違いなく男子であれば誰でも起きる。その殺人フレーズを僕たち兄やここにいない家族だけにするならまだしも、友人等(男子限定)にした場合はそいつを屋上へ呼ぼう。  そう決めた今日だった。後ろの冷蔵庫を開けても醤油は無く、予め買ってあったものを探して上の収納棚を開けるといちばん手前に一本あった。  しかし何故?  9mmパラベラム弾とリボルバーの分解状態、片栗粉、コーンスターチ。  あと厳重に管理した青酸カリ。それらがキッチンに置いてあることの意味が行方不明。  無くしていたと思っていた青酸カリを見つけたのはいいが、ここに置かれているのかが最大の謎である。  僕は宇宙に放流された究極生命体と同じく考えることをやめた。
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