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というのも、恐ろしいことに華奢な先生の体格では考えられない、大男を投げ飛ばす力があるのだ。
だが、間違っていけないのは、穏和で怒ることなど稀、非常に稀。
そんな彼女も機嫌の悪いサインはある。
「えー…それでは早く終わりましたがこれまで…… はぁ……」
深月は毎回5分程度余裕を持って授業を終わらせる、それも毎回予定していたところまで授業をやる。それが、機嫌が悪いと授業時間をきっかり10分を余らせる。
そして退出時にため息をつくこと、深月が機嫌が悪い時は必ず、以上二つをやる。
退出を気配で確認し、緋和の元へ兄の深夜がやって来る。
この時その他の生徒たちは、それぞれの仲間グループと色々なことを話し合っていた、日常会話から愚痴まで様々。
「さて…っと、深月ちゃん今日機嫌悪かったねぇ…」
何事のようにヘラヘラした態度は、生まれた時からいる弟の緋和にすら、未だ分かりにくいものだった。
鼻血を止めるために詰め物を入れられていた兄を見つつ緋和は、
「それは自分の教え子が鼻血出して詰め物入れられればね…」
苦笑よりも自嘲の色が強い笑みを浮かべる緋和を見て、深夜は、
「ま、さっきはああ言ったけど、お前ががそこまで落ち込む必要は無いと思うぜ?俺にも非があったしな、…つーわけで今日はお友達呼ぶからリビング使うねー」
緋和は目を見開き、表情を凍らせたまま、
「えっと、僕の任務の後のブレイクタイムは…」
「それとご飯…」と弱く言った、その頃にはクラス内男子(深夜の友人たち)が目を爛々と光らせ会話を見守っている。
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