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「あ、今日任務なの?ならちょう…じゃなかった…頑張って来なよ!俺も成功を祈ってるからさ、はっはっは!」
陽気に、はたまた嬉しそうに言った兄を見て、微かな怒りを感じざるを得ない緋和。周りもまた、そんなふたりを見ていた、兄の生存を願うものが大半だった。
「おい待てっ!クソ兄貴が!話を聞け!」
「お、い、ま、て、小ちゃい方のつ、く、そ、あ、に、き、がは、な、し、を、き、け。うーん、字足らずに字余り、まだまだ川柳は下手だねぇ」
指を丁寧丁寧に折り曲げながら、俺の文句を川柳に無理やり捉え、回答した。
もちろん文句を言うが僕はこんな言葉しか浮かばなかった。
「どう考えたって違うだろ!?」
哀れみすら湧くような嘆きに、多くの生徒は、ふたりを見て苦笑するのであった。
それでも誰も兄弟の喧嘩を止めようとはしなかった、この学校でも数えるほどしかいない、"元"日本学生上位ランカーの弟と、"現"日本学生上位ランカーの兄。
そのふたりの妹である、もみじすら、学生中位ランカー、誰もその時だけとは言え、敵には回したくないのだ。
その後、緋和が諦めてこの一件は決着した。
・・・
少年は機嫌が悪そうに歩いていた、顔は見る者に虚しさが襲いそうな、死んだ顔に目は死んだ魚。
さしずめ、後始末が面倒なことに巻き込まれたのだろう。事実、兄の友人達にリヴェラとの作戦。
これだけで表情筋が死んでいる、それと別に今学期、自分の成績が悪くこのままでは留年コース。
避けるには課外学習、つまり、リヴェラと"学生ミニスター"ではなく、"ミニスター"として仕事をしなくてはならない。これらが緋和の心を殺すに至った原因である。
死んだ顔もこの時は便利(?)で道の真ん中を歩いていても自然と人が避けていく、ノーマルに辛い日常生活を終えたら次には、ハードで辛い任務。
緋和は「嗚呼、消えぬ悪き予感、其れ即ち現実に成る。嗚呼、思うことはただひとつ、薬莢になりたい」などと訳のわからない物思いに耽りつつ、約束の場所へ着くのだった。
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