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「ひなお兄ちゃん、来たよ?」
妹の呼ぶ声でハッと我に帰る、エレベーターに乗ったもみじが呼んでいた、どうやら僕たち2人だけのようだ。ほぼ全員が寮を出た頃だから空いていたのだろう。
今日はスクールバスは出ていないのもある、ふと気になり妹に聞いた。
「そう言えばもみじ、今日は歩いていくのか?僕は用事がひとつあるから自転車転がしていくけど」
逡巡したようだった。すぐに答えを出すが。
「じゃあ今日は後ろに乗らせていただいて…くれぐれも事故は起こさないでね?」
「妹様がご乗車とあらば」
「何それ」とお淑やかに笑った後、
「いや〜、今日ミニスカでよかった!自転車に乗るんじゃロングだと引っかかる可能性あったし」
そう言って制服のチェックのスカートの裾をつまむ。エレベーター内だから良いが、兄としては中が見える可能性があるのでやめて頂きたい。
当の椛は上機嫌に語る。
ピンポーンと音がなる、1階に着いたようだ。
降りると椛は物憂げな表情へと変わり、自分はしつこいと思ったらしく顔色を伺いながら、
「本当にしん兄さん置いてきて大丈夫だったのかな?だって忘れ物とかよくするし、作ったお弁当だって…」
その目は色鮮やかなグリーンと、グレーのオッドアイ。僕との身長差によって見上げている。
ほぼ母親の遺伝であり、父親の遺伝はそこには無かった。せいぜい小柄であることだけ。
流石に弱った僕は、
「銃とか護身のものは絶対忘れないさ、特に妹特製の弁当はね。むしろ銃を忘れてきそうで僕は不安だよ」
椛の柔らかで優しい声が再び笑い声を届けてくれたことに嬉しく思う。
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