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同年同月同日。午前、8:40時。
北校舎2階のとある教室にて。
1階から、2階までは少し古めの学校風、その2階のとある教室、2年3組の教室。
2時間目の授業開始の予鈴が鳴る中、よろよろと入ってくる人影がいた。
髪は黒、身長は170cm以上、顔は特筆すべき点は無く、可もなく不可もなしと言ったところ。
ワイシャツを肘が見えるくらいまくっていて、黙っていればそれなりにイケメン。そう、黙っていれば。
「緋和くぅぅん……キミィ、実の兄にどんな恨みがあってあんな暴挙に出たのかなぁ?」
顔は務めて明るくしているが、軽薄そうな笑みは遊び人のような気がする。声は男子の中ではどちらかと言えば低い方、いつもよりドスが効いていた。
「……それなりにはな」
彼らの顔は非常によく似ており、髪色も真逆ではあるが、写し鏡をそのまま現実に持ってきたのではと勘違いしそうになる。
「そもそも、アンタが僕の恨みを買ってるから起きるんじゃないのか?」
「ひどいっ!君はお兄ちゃんをなんだと思ってるの!?」
顔を一瞬で青ざめて見せた、反応こそ女子のそれと変わりないが。
僕の兄が脚に携帯する銃、H&K MARK 23 と上着で隠れて見えないが僅かな膨らみのある脇腹。そこには、S&W M27(6インチのニッケルメッキモデル)
そのことを思い出すと恐ろしさが僅かに勝る。緋和はもちろん、そんなものがこの兄と弟の間に出るのは良くあること。
ややあって、緋和が返事をしないことが答えだと悟り、自分の席へと戻る兄。
もちろんその背中姿が悲惨なオーラを醸し出しているのは気のせいではない。
緋和としては、何故もみじに話したのか、それは単なる妹への罪悪感故で、そこに兄への罪悪感はあまり無い。
それでもあの兄のしょぼくれた後ろ姿は罪悪感が湧いてくるものだった。あとで謝るか、そう思ったのも束の間、担任の「一条 深月」がそろそろと入室し、今日の授業が始まるのであった。
40分後。
「一条 深月」その為人は実に優しく穏やかな人だ、彼女は怒らない。とされている。しかしそれは勝手なイメージ、実際は怒る時もあるし怒った時は基本手がつけられないのだ。
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