「遺書」谷崎トルク

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 ふと君の笑顔を思い出した。同時に僕が君をどんなふうに見ていたのかを思い出した。その瞬間、これまで見えていた風景が一変した。何かバラバラになったピースが一つになった気がした。  ――そうか……そうだったのか。  キャンパスで君をひと目で見つけられた理由も、階段テラスで心臓がドキドキした理由も、君が僕とのテニスで負けた理由も、全て分かった気がした。  ――これが真実だったなんて……。  初めて友子と寝た時、僕は君に友子を取られたくないと必死だった。本当に死に物狂いだった。でも、今なら分かる。僕はのだ。
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