第一章

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************* 入学式が終わった翌日で今日は始業式だ。桜は大分散っているけど、ぎりぎりまだ咲いている。玄関のところには大きな紙が貼られていて、そこにはクラス分けの表が書かれていた。 俺はS組から見ていく。 ちなみにS組は、進学クラス。進学クラス以外は、普通にA組から始まる。 「──っ!!!」 「あ。慶……。おるんや」 なんか不思議そうに次の瞬間に、アキが呟く。俺は、じぃっとクラス分けの表を見つめる。 藍谷の次は、一之瀬。 アイウエオ順に書かれたクラス分け表には、頭から二番目に俺の名前が書かれていた。 「おおおおおおおおおっ」 思わずその場でガッツポーズを取った俺を、パシンと後ろからカバンが襲う。 「慶、進学クラス希望だったのか?」 眉を寄せて俺の上から覗き込むのは、土方だ。 「……一応ね」 アキと一緒のクラスがいい、なんて言えない俺は、一応それっぽく頷く。 「……ま、藍谷と一緒で良かったな」 ぼそりとわかっているのかいないのかつぶやくと、当然の様に土方は、Sクラスにある自分の名前を確認して、教室へ移動し始める。 ちなみにSクラスの一番下に書かれていた名前は、『編入生:鷹塔 朔弥』の名前だ。まあ当然と言えば当然だけど、あのピリピリした空気、教室でも一緒なんだろうかと思うと少々気分が萎える。 「そか、慶が一緒のクラスなんや」 ぽつりともう一度つぶやいたアキは、どうやら結構びっくりしてて。 「うん、アキのおかげでだいぶ成績上がったからね」 機嫌よく答える俺を見て、アキがほんの少し頬を染める。 「まあ、ここからも俺が、慶の面倒みなあかんってことか、ほんま難儀やな……」 次の瞬間、頬の赤みを引っ込めて、やっぱりちょっと憎々しげに言ってみたりする。俺には照れ隠しだってすぐわかるけどね。 そんな会話を交わす俺たちの横を、一瞬ちらりとクラス分けだけ確認して、 そのまま鷹塔が通り過ぎて行った。 「まあなんにせよ、今年一年よろしくね」 俺が手を出すと、すんなりとアキは手を伸ばし、パシンっててのひらをぶつけていい音を立てる。 「いってぇなあ、何すんだよ」 言葉はそんな言葉を返すけど、去年手を差し伸べたときには無視したアキが、 パシンと手を叩き返してくれたことが嬉しくて。 結構高校二年生は、いい年になるかも? なんてちょっと浮かれながら、俺たちはSクラスの教室に入った。 「鷹塔、お前編入試験、うち始まって以来の好成績で入ってきたって聞いたぜ。去年の主席の藍谷と、どっちの方がトップ取るか、めちゃくちゃ楽しみだな」 俺達が入ってきた瞬間、そんな声が飛んで、一瞬アキが眉をしかめる。 鷹塔はその言葉に鋭い瞳を細めて笑っていた。そうやって笑うと、結構悪戯っぽいっていうか、思ったより親しみのある顔で一瞬視線を奪われる。 「さあな、俺は別に勉強とか碌にしたことねーし。がり勉とかやったことねーからわかんねーよ。しっかり勉強する奴の方が成績はいいんじゃね?」 って、あんなに寮ではライバル心むき出しのくせに、ここでは、余裕みたいな顔して見せてることに、ちょっと俺はカチンとくるけど、アキは何も言わずに俺を席に引っ張っていく。 教室の席も、最初からだからだろう。出席番号順で並んでいるから、当然、 アイウエオ順で並ぶ俺たちは前後の席になる。 新しいクラスのメンバーは当然のことながら、うちの学年の成績上位者ばかりで、 「あれ、なんで慶がここにいるん?」 小学校からの持ち上がり組の奴らに、パシンと頭を叩かれて、俺は頭を抱えて言い返す。 「うっせ。実力だっちゅーの」 俺が言い返すと、周りの奴らが集まってきて、ごちゃごちゃ言い始める。まあ、成績上位者って言っても、ギリギリで滑り込んだ俺は、ライバル扱いされにくい。皆のおもちゃがこの時点ですでに確定しているのかもしんない。 次の瞬間、チャイムが鳴って、慌ててクラスメイト達は着席する。 間髪を入れずに、クラスに先生が入ってきた。
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