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透也side
もう夜も遅いんだから早く帰った方がいい、と半ば強引に生徒会室から追い出された。
ったく、それはお前だろ。
今の生徒会の仕事を捌いているのは彩翔1人。
それは近頃の生徒会役員共と彩翔の様子を見ていれば分かることだろう。
現に今会った彩翔は目の下に大きな隈を作り、体も少しフラついていて、明らかに疲れていた。それはもう、今すぐにでも寮に帰したいぐらいだった。
ではなぜそれをしないのか。
それは、彩翔が休んでしまうと学園が回らなくなるからである。
今の生徒会の仕事をしているのは1人と言ったが、本来ならばあの量は1人でできるようなものでは無い。
こんなことは彩翔だからできることなんだ。俺でも1日ならまだしもこれをずっとと言われると難しいところがある。
それに今は親衛隊が荒れているため仕事が増えていてそれどころでは無い。
このような状況が続けばそのうち彩翔も限界を迎えることは分かっている。
それでも今すぐにこの状況を改善することが出来ない。
そんな自分が情けない。
1人悶々としているといつの間にか風紀室に着いていた。
「あ、委員長戻ってきた。」
「委員長。会長の様子はどうでしたか?」
風紀委員もみんな彩翔の様子を気にしていた。
彩翔は外見もさることながらとにかく性格がいい。あいつの悪口は聞いたことがない。
そのため、風紀委員の奴らもみんな彩翔を慕っている。
「疲れが溜まっているように見えた。それに、生徒会室には彩翔しか居なかったし、他の役員の机の上には書類が山ほど積まれていた。やはり今生徒会の仕事をしてるのは彩翔だけと考えていいだろう。」
「委員長。もう僕達は我慢できません。」
「やはり生徒会を・・・」
「いや、まだだ。
もう少しだけ、待ってみよう。」
まだ、ソレをする時ではない。
ソレをすればこの状況は確実に改善される。
だけど、ソレを彩翔は望まない。
だから、俺たちはお前がキツい状況に居ることを知って、何もすることが出来ない。
それでも、どうしても辛くなったらどうか、俺たちを頼ってほしい。
俺は、風紀委員会は、いつでもお前の味方だから。
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