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「あや、休んで」
「でも新歓明日だから」
「だか、らこそ」
いよいよ明日が新入生歓迎会。
人手の少なすぎる準備だったけど、なんとか間に合った。
ただ、本番は明日。
明日失敗すればこれまで協力してくれた人や帰ってきてくれたおーくんに申し訳ない。
だから、今日は休むわけにはいかないのだ。
「あとこの書類だけだから。ね、いいでしょ?」
「それ、おわ、たらすぐ帰ること」
「分かったよ…」
腰に手をあてながら僕に注意するおーくんはまるで子供を叱る親のよう。
おーくん僕より身長高いはずなのになんでこういう仕草しても可愛いんだろう。
あ、おーくんだからか。
出来ればもう一度明日の書類を見直して、開会式とかの練習もしときたいんだけど、おーくんが許してくれなそうだし今日は大人しく帰ることにしよう。
ただし、帰るならおーくんも一緒に、だ。
おーくんだって僕が新歓の仕事をやっている分、通常業務をたくさん担当してくれてたんだから、全然寝れてないはず。
「おーくん、帰ろ」
「おれ、はまだ、やってく」
「ダメです許しません帰ります」
自分より大きい人を引きずっていく姿は周りから見たらさぞ滑稽に写ったことだろう。
だけどもう夜遅く。校舎内に残ってる生徒は居ないので問題ない。それになんだかんだ楽しかった気がしなくもない。
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