新入生歓迎会 準備

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あの後、着替えを持ってきたいと言ったのにおーくんは離してくれず、そのまま怜の部屋にお邪魔した。 「桜輝は・・・この服なら入りますかね」 「ん、ぴったり」 「それで彩翔の分なんですが・・・」 少し気まずそうにしながら怜は一枚の服を渡してきた。 「すみません、私の部屋にある一番小さいサイズはこれなんです…」 「お、おっきいね…」 怜の身長は178cm、僕は169cm 10cmの差がここまでとは… 「やっぱり僕、服持ってくるよ」 今度はおーくんは僕を止めなかった。 no side 染井が出ていくと同時に部屋の空気がピンと張りつめた。 しばらく無言が続いたが、やがて川上が口を開いた。 「どうい、う、つもり?」 「何がでしょう」 「わかっ、てるでしょ?」 お互い相手が言わんとする事は分かっているが、それを直接的には言わない。 「・・・どういうつもりも何もありません。私にだって話す権利はあるでしょう」 思わず川上は吉野の胸ぐらを掴んだ。 「自分がして、きたこと、忘れた、?」 「忘れてなんか」 「じゃ、これ以上、意味わからな、い、行動しな、で」 川上が言い終わると同時にガチャりというドアの開く音が聞こえ、部屋の空気は再び緩む。 「あや、おかえ、り」 「うん!あ、2人とも夜ご飯どうする?」 「ああ、それなら私の部屋に食材があるので・・・」 そこにはもう既に、先程までの緊張感はなかった。
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