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「校長先生ありがとうございました。
さあそれでは最後に生徒会長と風紀委員長から大事な発表です。」
司会の言葉に会場にいる誰もが驚いた。
生徒会と風紀委員会はともに絶大な人気を得ている。
しかし、生徒会と風紀委員会は代々仲が悪く、こういった行事の場でさえも滅多に同じステージの上に立つことはない。
そんな組織の、さらにそのトップの2人が共演するのは誰もが一度は夢に見て、そして諦めたことであった。
会場に居る全員がステージに注目する。
そこには例外などない。
少しの間を置いて生徒会長と風紀委員長が登場する。
その姿に、思わず息を飲んだ。
目の前に現れた染井と犬飼はその身を浴衣に包んでいた。
染井はその髪色に合わせ、髪より濃い桃色の浴衣に黒の帯。また髪は右側に編み込みが施されていていつも以上に顔がよく見える。
一方犬飼は白の浴衣に染井と同じく黒の帯。そして髪はセンター分けで、時々目にかかる前髪をうざったそうにするその表情にさえどこからともなくため息が出る。
通常ならあがるはずの悲鳴もあがらない。
「風紀委員長の犬飼と生徒会長の染井だ。今日は新歓に参加してくれてありがとう。今日のためにコイツら頑張ってたから、ぜひ楽しんでやってくれ」
犬飼はにこやかにそう話しつつ染井の頭に手を乗せる。
その仕草に近くに居た親衛隊はバタバタと倒れ、犬飼に向けた染井の笑顔だけで親衛隊以外の生徒までフラフラし始める。
「今回の新歓は花火大会ということで最上グループの協力で希望者はみんな浴衣を着ることができます。ということで僕たちも浴衣を着てみました。似合ってますか?」
そう言って意地悪そうに笑う染井。
視界の暴力に生徒達はもう限界寸前。
それを知ってか知らずか舞台上の2人は話を続ける。
「付き合っている者同士お揃いにもできる。もちろんワンポイントだけお揃いにすることも可能だ。例えば、俺たちみたいにな」
「ちょ、その言い方だと僕たちが付き合ってるみたいじゃん」
「なんだ、嫌なのか?」
「嫌っていうか…みんなの前だし…」
「ふっお前、変なところで周りを気にするよな
話は以上だ。では、よい新歓を。」
それだけ残して舞台上から2人は去っていった。
混乱を残して・・・
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