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嬉しかった。その気持ちを表に出さないように「いいですよ。俺も暇なんで」と答えた。
電話越しの彼女の声はまるでオルゴールのような優しさと安らぎを含んでいた。
俺はいつのまにか話に夢中になっていた。会話の中で彼女が24歳ということを知った。タメ口でいいと言われたが、なんとなく敬語を使ってしまう。
壁にかけられた時計に目をやると3時を回っていた。彼女は明日日勤のはずだ。
「時間大丈夫ですか? もうだいぶ遅いですけど」
一拍空いたあと、彼女は笑いながら「私は大丈夫ですよ。結さん眠いですか?」と聞いてきた。
正直少し眠かったが、電話を切りたくはなかった。
「大丈夫ですよ」
彼女は嬉しそうな声で「ありがとございます」と言った。そしてそのあと少し伺うように聞いてきた。
「もし結さんが良ければ、このまま寝てもいいですか?」
「通話したままってことですか?」
「はい。私好きなんですよ。寝落ち電話」
「いいですよ」
「ほんとですか。ありがとうございます」
彼女の嬉しげな声はいちいち俺を幸せな気分にしてくれる。
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