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そこから1時間ほど話すと、彼女の声色が少しずつ変わってきた。
うつろうつろとした、少し甘えたような声。
「眠い?」と俺は聞く。
「ごめんなさい。寝ちゃうかもです」
彼女は恥ずかしそうに言った。その一言さえも可愛らしかった。
「いいよ。おやすみ」
「結さん」
眠そうな声で彼女に呼ばれ、少しドキッとしてしまう。
「なんか寂しくなっちゃうで、"おやすみ"はなしで、お願いします」
正直、その感覚は理解できなかったが俺は「わかった」と答えた。
そこから数言交じわすと、彼女からの反応がなくなった。
俺はあえて何も言わなかった。スマホのノイズ音に混じり寝息の音が聞こえる。時折「ん、」という寝言も混ざった。
俺はその後に聴覚を集中させていた。妙な背徳感を覚えながら。
いつのまにか俺も目を閉じていた。スマホから流れる音はまるで彼女が隣にいるかのような感覚を俺に与えてくれる。
なんとも幸せな気持ちで俺は眠りについた。
目が覚めたのはスマホから流れるアラーム音のせいだった。俺のスマホから鳴っているわけではない。
「んー」と可愛らしい声が聞こえた。
寝起きの良い俺は「おはよう」と声をかける。
「おはよー」と普段よりも低めの声で彼女は言った。
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