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結局、俺の学位審査は、この2週間後に一部の審査員の入れ替えを行い、学内の異分野からのオブザーバーとして教員2名を追加して、非公開で対面の口頭発表の形で実施された。入れ替えられた一部の審査員というのは、MP教授だ。俺には、なんでMP教授がおかしな行動をとったのかわからない。JB准教授も詳細を知る立場にないと言っていたけど、N子から、もう少しだけ詳しい事情を聴いて、想像できたことがある。
中断された審査会の後、久しぶりにN子と直接会って話をしたことで、この1,2年の間、俺が研究に集中するあまりに見過ごしてきた事実がいくつかあることが分かった。
俺がN子に対して二度目の「いいよ(さよなら)」を言った後に、N子に対して次の「いいよ(おいで)」を言った人物は誰もいなかったようだ。
そして、N子に「もうやめよう」と言わせたのは、当時N子の卒論を指導していたMP教授だったこともわかった。
N子が一度は個人的な領域での指示に従ったことで、調子に乗ったMP教授は、N子のプライベートに土足で入り込んで、MP教授に対しての更なる個人的な「いいですよ(ハラスメント)」を強要したけど、N子は毅然として「いやです」を返したとのこと。これらは、全部知らなかったことだ。
N子の卒論の評価も一時期は「不可」となって卒業が危ぶまれたけど、他の教授たちからの口添えでギリギリの「可」となって卒業ができた。
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