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俺は、実質的にはJB准教授の学生だけど、面倒な規定があって、書類上では、俺はMP教授の指導のもと、博士の学位の審査を受けることになった。要は、JB准教授は、パワー不足で俺の審査の「主査」にはなれなくて、「副査」の立場で、実質上の公開審査会のとりまとめをしている。今日の発表の間、俺は大学院生室のPCの前に居て、教授たちは近くの教授室にいる。近くに居るんだから直接話せばよいのに、形だけのオンラインというのは意味が解らない。
公開といってもウェブ会議に入室できるのはMP教授が推薦してJB准教授から招待状が届いた人たち(審査員とオブザーバー)と事前告知を見てJB先生に直接メールで参加希望を出した人たちだけだ。
MP教授を主査として編成された審査会のメンバーは、学内最強のこわもてメンバーで、学術的に曖昧なことは絶対に許容しない鬼ばかりだ。特に鬼の中の鬼として知られるSA教授がいるなんて予備審査の直前まで知らされていなかった。
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