結婚は勢いだと言いますが……

2/170
前へ
/432ページ
次へ
   目の前には、夕日を映した鮮やかな色の海と、黒い島影。  後ろには、雪が降ったら、越えられなくなる高い山。  横を歩いて居るのは、美しい夫。  美しいが、困った夫だ……、と真昼は、まったくこちらを見ていない、春物の白いコートを着た男を見る。  なにがどうして、こうなった?  っていうか、そもそも、何故、私は此処に居るのだろう、とすごい勢いで海の向こうに沈んでいく夕日を見ながら、真昼は思っていた。  ああ、そう。  おばさんに売られたんだった、と真昼は思い出す――。
/432ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1836人が本棚に入れています
本棚に追加