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会社に出入りしている保険の外交のおばちゃんも、よくコンパとかセッティングしてくれるのだが。
峰子はコンパだけでなく、顧客の見合いの世話までしているようだった。
「軽くお茶する感じだから、あんたが職場に着てってるスーツとかワンピースでいいわよー」
と峰子に言われ、真昼は仕事帰りに、本当にそのままの格好で待ち合わせ場所に向かった。
指定されたのは大通りを少し外れたところにある雑居ビルの喫茶店。
雰囲気のいい店で、相手の人のお気にりの場所らしい。
その日は遅くまで仕事があって、時間はギリギリ。
真昼が慌ててエントランスに飛び込んだとき、ちょうどひとつしかないエレベーターの扉が閉まるところだった。
「あっ、すみませんっ。乗りまーすっ」
と真昼は叫ぶ。
いつもなら、また降りてくるまで待つのだが、見合いに遅れて、おばさんの顔をつぶしてはまずい、と焦り、思わず叫んでしまったのだ。
軋む音を立てて開いた扉から駆け込むと、中には男の人が居た。
シックな色のスーツを着て、細い銀縁の眼鏡をかけた男の人だ。
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