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「千紘さーんっ」
と真昼は、ゾンビのように、何処も持たず、フリもつけずに上半身をばかっと起こした。
わああああああああっと千紘が人生で初めて聞いたような悲鳴を上げる。
「大好きですっ、千紘さんっ。
ありがとうございますっ」
「真昼っ、どんな腹筋だっ」
飛びついてきた真昼を抱きとめながら、千紘が叫ぶ。
「昼、暇なんで、テレビ見ながら鍛えてたんですーっ」
そのまま、真昼は、じっとしていたが、しばらくして、ハッとしたように千紘から離れて言った。
「……カセットコンロ、切りましたっけ?」
「いきなり、現実に戻るなよ……」
だが、それが自分たちの日常だ。
夢のような恋愛からの結婚もいいが。
最初から現実味のある生活を送っているうえでの恋も悪くない。
千紘はベッドに上がると、真昼を膝に乗せ、言ってきた。
「いいのか? こんな自分の妻に好きだと言えないような男でも」
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