恋がはずんだら、春。

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歩き出そうとしたら誰かにぶつかった。 新田君と同じバスケ部の逢坂翔君(おうさかしょう)だ。 彼の手からバスケットボールが一個、 コロコロと廊下を転がっていく。 慌てて取りに行き、逢坂君に渡した。 ごめんね、ちょっと急いでて、と謝り、 歩き始めた私の足取りは遅い。 「なあ」 振り返ると、心配そうな顔の逢坂君と目が合った。 「今、行かない方がいいかも」 「え…?」 逢坂君に連れて来られた先は 校門が見える運動部の部室が集まる棟の二階だった。 真下に見えているのは新田君と知らない女の子。 胸のリボンが赤色だから一年生だ。 同じ色のリボンで結わえられた白い箱を 彼に差し出している。 彼は箱を受け取り、彼女は嬉しそうに 目を閉じて。二人はキスをした。
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