40人が本棚に入れています
本棚に追加
逢坂君。
どうしよう、優しい手つきに涙が止まらない。
「あんな冷たいやつ、やめなよ。
俺の方がずっと木野さんを大事にする。
凹ませたりなんか、しない」
逢坂君の目は真剣だった。
迷いなく私を見つめている。
「先生には俺からちゃんと話す。
木野さんは悪くないって。
だからさ、木野さんはもっと自分を大事にして?」
逢坂君は表情を崩して甘やかに微笑む。
そしてタオルをくるりと首に巻くと
また明日ねと校舎の方へ戻って行く。
視線を新田君に戻したら、
その子と手を振り合って別れていた。
"木野さんはもっと自分を大事にして?"
…自分を、大事に。
「逢坂君、待って!」
逢坂君に駆け寄った。
最初のコメントを投稿しよう!