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「そうじゃなくて、一つ前の名前?というか元の名前?ってもしかして光?」
「ええ?!もしかして…」
これはもしや思い出してくれた?
「秘密を暴く能力があるのですか?!」
いやなんだその俺の仕事に役立ちそうな能力は
「そんなのねぇよ、俺のこと覚えてるだろ?」
そう言うと目をキラキラさせて足をドタドタさせた。
「エドメ兄さん?!似た者じゃなくて、本当に君なの?」
こっちの台詞だよ、お前、亡くなったはずなのに
「ああ。そっちこそ、何で死んだのに人工知能になってるのさ」
「ロボットだって気づいたの?流石だよ」
機械的な音を鳴らせる為に腕を動かす。
「僕の死後、此処に住むとある一人の科学者が僕の魂を出来上がったこの機体に接続したんだよ、実験の為にね」
今の時代ってこういうこともできるの?!
「どういう実験だよ」
「再生ですよ!魂の」
なんかありそうな実験だな
「人間の意識は機械に接続できる。人間は意識さえ有ればバーチャル世界でも生きていけます。なら霊の魂であっても、機械にさえ入れちゃえば生きているとも同然になれるのではないかという考えの元、僕を使ったんだよ」
確かに、その科学者は見事に成功している。
「霊の魂は生前の念で出来ているものだから、その念を人間の意識として取り入れて再生する。難しい話だけど、とにかく霊でも人間と同じ体を手に入れられるってことさ」
やろうと思えば出来そうだし、いずれ出てきそうなテクノロジーだ。
「でもまた会えて嬉しいよ、君と姉のことはとても残念だったから」
ピカ…いや、なんだかその名前は慣れないから光のままで呼ぼう。
光は何かを覚え出した反応で「パタっ」とその手にした小さな手帳を閉じて歩き出した。
「お姉ちゃんに会わせるよ!嬉しいことにお姉ちゃんを見つけたんだ、きっと兄さんに会えることを嬉しく思うよ」
それは良かった。ん…良かったのか?
まぁ彼もそれが本望だったから、一緒になれただけ良いなのかもな。
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