第一部・突然の始まり

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「昨晩突然帰って来たのよ。びっくりしちゃったわ」とリビングに戻って来たメアリが笑って教えた。 「帰って来たわりにポーの姿が見えないようだが…」 実家に帰って来てる時は1人が嫌いなポーは常にリビングのソファーで携帯をいじりながらゴロゴロしているのだ。 不思議に思ってきょろきょろ辺りを見廻すベンジャミンに「部屋よ」とメアリは言った。 「リビングに居ないなんて珍しいな」 「帰って来てからずっと部屋にこもってるの。私とお母さんで何度か話しかけたんだけど放っておいての一点張り」 「大学で何かあったのか?」 「分からないわ。だって何も教えてくれないんですもの」メアリはシャクティの隣に座った。 ベンジャミンは腕を組んで少し考えた。それから2人を見ると「何か言えないような難しい話しなら男同士の方が良いだろう。俺が行って聞いてくるとしよう」 「そうね…そうかもしれないわね。貴方頼むわね」 「あぁ」とベンジャミンは微笑むと「ポー、お父さんが帰って来たぞ〜」と楽しそうに階段を登って行った。 「お父さん大丈夫かしら?」とメアリが心配そうに呟いた。
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