第一部・突然の始まり

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「音がお前を追いかけてるって言うのか?」 「音って言うか…」 「その飛び降りて来た女が?まさか…ありえない。考え過ぎだ」 「でもっ、彼女は僕が花束を持っているのを見てた!きっと僕が彼女の死を嬉しがってるって勘違いして……」 「考え過ぎだ!」バンッとベンジャミンはテーブルを両手で叩いた。 リビングがシーンとなった。「大学の課題レポートやらで疲れてるんだろ。シャワーを浴びて今晩はもう休みなさい」 「…………はい」ポーは小さく返事した。 「あ…貴方…」 立ち上がって自室に向かうベンジャミンにメアリが声をかけると「すまない。夕食は明日の朝食べる」と言ってベンジャミンはその日一度も家族を振り向かなかった。
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