第一部・突然の始まり

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2. 「信じてくれるって言ってたのにな…」 次の日の午前中。家族4人でぎこちなく朝食を食べ終えてから何も言わずに仕事に行ってしまったベンジャミンをソファーに座りながらリビングの窓からちらっと覗いてポーがため息ついた。 「昨日は仕事帰りもあってお父さんも疲れてたのよ。落ち着いてから今晩にでももう一度話したらきっとお父さんだってポーの話しを信じて……」 ポーが膝に抱えていたクッションに顔を埋めてしまったのを見てシャクティは口を閉じた。 「大学に1週間だけ休みますって連絡しておいたわよ」メアリが気を遣うような笑みを浮かべながら2人の前に淹れたての紅茶を2つ置いた。 自分の分を片手に持って飲みながらメアリがリモコンでテレビをピッとつけるとちょうど天気予報が終わったところだった。 「あら明日も雪ね」とつまらなそうに呟いてメアリが紅茶をこくりと飲んだ。
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