第一部・突然の始まり

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「なんで他所の国は晴れだの雨だのちゃんと天気があるのにこの国だけは雪の日が長いのかしら?」とシャクティが不思議そうに呟いた。 「そう言う気候の下にちょうどある国だから仕方ないのよ」とメアリが笑った。 「あぁ、また業者の人に屋根の雪かき頼まなきゃならないわね…」 しんしんと降り続く雪の姿を窓から見てメアリがぼそりと言うとテレビから臨時ニュースが流れ出した。 ニュースの内容は……の前に画面の中にモザイクで映る家々の様子を見て「あら、ポーのアパートじゃない?」とメアリが驚いた。 「えっ?」とポーが顔をあげた。 アナウンサーは一か月前ほどにここのアパートで起きた事件の内容を詳しく説明していた。飛び降り自殺だったらしい。亡くなったのはチェルシー・ワードと言う20代の飲み屋の女だったらしい。 そう言うわけでポーの話しは本当だったと分かった2人より早くポーはウサギのようにぴょんっと立ち上がると急いで窓を開けるなり「俺の話し嘘じゃないぞ父さーん!」と既に姿が見えなくなった父親に向かって大声で叫んだ。 「でもひとつ疑問が残るわ」とシャクティ。 「きっと貴方と私も同じ」とメアリが頷いた。
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