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「…ね、ねぇ、……あっ…わ…わた……
私が着いて行こうか?」
蚊の鳴いたような声だった。そっとシャクティが言うと聞き違いじゃないかとでも言いたげな様子でメアリとポーは心底驚いて目を丸くすりなりシャクティを揃って凝視した。
ここは“ロンドン”。
ベーカー街と言う場所にポーは住んでいた。ここら辺は様々な系統の大学やらその他の学校が密集してるのもあって比較的若い人達が多く住んでいる賑やかな街で、この国1番大きな警察署もあるためとても安全な場所であり病院なんかの施設も充実しているので家族で住んでる人も結構多い。
『貴方熱でもあるの!?』
『急にどうしちゃったの姉さん!?』
握り拳の半分も無いかもしれない勇気を振り絞って家の外に出る前にシャクティは家族に散々心配された。
「ね、姉さん大丈夫?」
田舎町と比べようの無い人人人でごった返す街中を顔を真っ青にしながらヘロヘロと力無く歩くシャクティに腕を貸して歩いてやりながらポーが心配して聞いた。
「吐きそう…」とシャクティは幽霊みたいな血の気の無い顔で呟いた。
外の世界がこんなにも眩しいものだったと7年ぶりに思い出して思わず目眩がした。
色とりどりな人々が行き交う街の真ん中で周りの人々と全く正反対な流行遅れの地味なワンピースを着ている自分がなんだか恥ずかしくも感じた。
シャクティはふらぁっと倒れそうになった。ポーが慌ててシャクティを両手で支えた。
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