第一部・突然の始まり

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都心部から電車で1時間、少しだけ離れた静かな田舎町の茶色い三角屋根の家にシャクティは住んでいる。 彼女は幼い頃から人付き合いが非常に苦手な女性だった。 外を歩けば周りの目が気になっていつも誰かしらに悪口を言われているんじゃないかと言う恐怖心から下を向いて歩いたり、 机を囲んで皆と給食を食べている時も自分がトイレに行こうと席を空けている間にまた何か言われてるんじゃ…などと深く考え過ぎてしまったり、自分が何か発言したら周りの子達が嫌な気分になるんじゃないかと思ってしまったりとかしてシャクティはいつも口を結んで静かに黙って皆の後ろにひっそり立っていた。 生まれつき他の人より繊細過ぎる性格もあってシャクティは大人になっても誰とも上手く話す事が出来ず、 成人した証として必ず参加しなくてはならない20歳の時のお祝いパーティーに母親とこそこそ参加した時以来7年間ずっと自宅に引きこもりっぱなしの生活をしていた。
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