第一部・突然の始まり

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「美味しそうね」とメアリが言ったのでシャクティは笑ってしまった。 「ママ、手袋は食べれないわよ?」 「冗談で言ったのよ。ホワイトチョコとミルクチョコのような色の毛糸だったからついよ、つい」 ふふっとメアリは笑った。 「次出品の?」 「ううん。これはポー(弟)にあげるの。もうすぐ誕生日でしょう?」 毎年必ず誕生日には実家に帰って来るのでその時にプレゼントしようと思い作っていたのだ。 「あら、大変!もうそんな時期だった?…嫌だわ…忘れっぽくなって来ちゃって、今年のポーの誕生日の夕食は何を作ろうかしら…」 去年はハンバーグ、一昨年はビーフシチュー…ぶつぶつ言いながらシャクティの部屋のカレンダーをめくるメアリ。 一生懸命に考えているメアリをソファーに座りながら見上げてシャクティはちょっと可笑しくなった。
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