第一部・突然の始まり

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「あら美味しそう!さっそくいただきましょう!」 メアリと2人、大好物のチョコレートボンボンを指でひとつ取ってさっそくいただきま……としたところでタイミングよく玄関が勢いよくガチャリと開いた音がリビングに響いた。 何事かと2人はびっくりして肩を跳ね上がらせると昨晩突然実家に帰って来たポーが険しい顔をしながらズカズカとリビングに入って来た。 ポーが随分怖い顔をしているものだからシャクティとメアリはほとんどおんなじような表情でぽかんとしながら台所でグラスに淹れた水を飲んでいるポーを眺めていた。 それから少し空けてようやく はっ と我に帰ったメアリの方が先に「貴方急に帰って来るのは別に構わないけど、良い加減何があったのか理由を話してくれても良いんじゃないの?」と声をあげた。 「……別に」ポーの返事は素っ気なかった。 いつもの明るいポーらしくない。なんだかどこか疲れてるようにシャクティには見えた。 「……ねぇポー、何かあったの?」 ポーは一瞬シャクティを見た。 「…ちょっと放っといて」ほとんど消えそうな声でそれだけ言ってポーは黙って自分の部屋のある2階に向かうために階段を上がって行ってしまった。 「あっ、ポー!」とメアリが階段下から声をかけたがバタンと部屋のドアが閉まってしまった。 何が何だか分からず2人は顔を見合わせた。
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