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相変わらず俺は誰彼構わず喧嘩ばかりしていた
そのせいか以前よりも体力もついて、負けることも少なくなっていた。怪我は減ったし、血を流すこともそんなになくなった。
その分人を殴った時の骨の感触や、泣き縋ってくる奴らの俺を見てくる目に凄く興奮した。
そんな日々を送っていたある日
繁華街を歩いていたら突然路地に連れ込まれた
「探したよ〜尚哉くん」
全く知らない男だった。
けど、最近は恨みを買うこともよくあったため珍しいことではなかった
「・・・・・・覚えてないわ」
こいつ弱そうだし。悪いけど本当に覚えてないなぁ・・・
「はぁ?忘れただと??
俺らにあんなことしておきながらふざけてんじゃねぇぞ!!お前のせいで俺は指2本ダメになってんだ!!!」
俺の反応を見て本当に覚えていないと思ったのか、男が逆上して殴りかかってきた
正直、男の動きが遅過ぎて余裕でかわせた
ただ俺は完全に油断していた。
弱い相手だということ。そして相手が1人だと思い込んでいたこと。
突然後頭部に物凄い打撃がきて気づいたら地面に転がっていた。
後ろからもう1人きていたらしい。
振り返ると金属バッドを持った男が立っていた。
バッドがまた振り上げられてこちらに目がけて振り下ろされる・・・スローモーションのように感じた。
(あぁ死ぬかも)
そんなことを他人事のように思ってこれから来る衝撃に備えて思いっきり目をつぶった。
「はい。ストップ!」
思っていた衝撃が来なかったため、不思議に思って目を開けた
そこには凄くデカくて黒い男が立っていてバッドを片手で止めているのが目に入った
助けられた?
「大丈夫??尚哉くん、だっけ?喧嘩強いんだね!
凄い凄い!
だけどもう少し周囲を警戒した方がいいかもね。」
「誰だ、お前」
「こいつらのチームの一応リーダーみたいなやつかな?」
「・・・は???」
「こいつらのことは悪かった。しっかり叱っておくから。でも、とりあえず君のその頭、手当した方がいいんじゃないかな?」
バットで打たれた頭から結構出血してるらしい
意識し始めると急に頭がくらくらしてきた
一刻も早くこの場から離れよう・・・
そう思って立ち上がったところで急に目の前が真っ暗になった
「あらら、言わんこっちゃない。」
それがデカくて黒い男、タマキとの出会いだった
目が冷めたらタマキの所属するチームが拠点としている倉庫で手当てをされていて、何かとタマキが気にかけてくれた。
なんだかんだで怪我させたお詫びとか言いくるめられて数日それが続いた。途中何度か脱走を図ったものの全部バレて連れ戻された
なんで俺なんかに構ってくるのか、何が目的か分からず全く信用出来なかった
「お前、なんで俺にそんなにしてくれるわけ?金とかなら持ってねーけど。」
「お前じゃなくてタマキ!
うーん、そうだなぁ・・・・・・。
・・・なんてかさ、元々尚哉のことは噂で聞いてて気になってはいたんだけど、実際こうやって見てるとお前めちゃくちゃ目付き悪くて人寄せつけないような見た目の割に寂しがり屋じゃん??」
「はぁ?」
会ったばっかりのこいつになんでそんなこと分かるんだ?
「尚哉は知らないかもだけど、お前が喧嘩売ってる中には俺のチームの奴ら結構いるからね。最近皆して傷作ってくるからそりゃ一応調べもするよ」
俺の心の中を見たかのような言葉が返ってきた
「んで、お前のことはチームの肩持って懲らしめてやろうと思ったんだけどさ、会ってみたらそんな気なくなったよ。お前仲間とかは居なさそうだし、俺のチームに入れよ。なんか放っておけないし。」
そう言ってタマキは俺の頭をポンポン叩いてきた
何だか心の中がじんわり温かくなった気がした
こんなのは始めてで気がついたら俺はそのまま頷いていた。
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