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プロローグ
はあぁ…
残業のせいで、また電車を逃してしまった。
次の電車は1時間13分後だと知り、
今日何度目かのため息をつく。
空に浮かぶ一等星が虚しく見える。
上司からの暴言を浴びて、面倒くさい雑用ばかり押し付けられて、自分の仕事は残業で終えて。
あぁ、なんか思い出したら切なくなってきた。
冬の空気に浸って凍った手にカイロをあてながら暇つぶしに駅の中にある書店に立ち寄る事にした。小さな書店の中でゆっくり足を進めていく。
「あ、」
その本は、本棚の1番隅の方にたった一冊だけ
置かれていた。キラキラした恋愛ものの中にに置かれたそれは一つだけういてみえた。なんか変な表紙だな…。青空を撮ったの写真なんだろうけど、ピンぼけしてるっていうか……濁って見える。
「時と飴」と書かれたよく分からない題名の本。
でも、何故か惹かれた。たぶん、
“あなたの知らない、この世界の実話。”
というキャッチコピーのせいだ。
新聞記者という職業に就いている者
として、自分の知らない実話がなんなのか、
作り話だとしても気になった。
気がついたら、その本を手にとり、
足早にレジに向かっていた。
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